少数派も生きやすい社会について考える Pinkdot香港

先日、香港人の友人に誘われて「Pinkdot Hong Kong」というイベントに行ってきました。正直なところ、お誘いを受けたとき、そのかわいらしい名前を聞いて、

ピンクドット?なんかインスタ映えしそうなかわいらしいフォトジェニックなイベントかな?

なんて思ってしまいました(笑)
家に帰ってネットで「Pinkdot」で検索すると最初にヒットしたのが「Pinkdot OKINAWA 2017」のページでした。

ん?沖縄でも開催してたのか。
MAXが出たということは、Pinkdotって野外音楽フェスなの?
それとも乳がん検診の啓発イベントなの?(それはピンクリボン

何やらよくわからないまま、「Pinkdot Hong Kong」と「Pinkdot OKINAWA 2017」を見比べながら、イベントの趣旨を探りました。

Pinkdot OKINAWA趣旨

「性の多様化、個人の尊厳、個性の尊重」「LGBT(LGBTQXなど)に代表される性的マイノリティ」を、一人ひとりの個性として受け入れ「誰もが生きやすい社会」を目指すイベントです。

出典元:Pinkdot OKINAWA 2017 公式サイト

Love is love: Over 10,000 attend Hong Kong’s Pink Dot LGBT diversity and equality carnival
Allies, friends, families and colleagues of LGBT Hong Kongers gathered to form an iconic human pink dot, which organisers say symbolises inclusivity and diversity.

出典元:Pinkdot Hong kong 公式サイト

香港のサイトの方はなんとなくで抜粋してみましたが、両イベントで共通して出てきた単語は「LGBT」。日本語で書かれている分、沖縄のサイトの方が、Pinkdotの趣旨がより理解しやすいと思います。ちなみにもっと言えば、沖縄タイムズの「性の多様性、広がる理解『ピンクドット沖縄』過去最多2900人参加」の方がイベントの内容がよくわかると思います。

Pinkdot前日に中環で見かけたポスター

Pinkdot前日に中環で見かけたポスター

お堅いイベント…ではなく、大人も子どもも楽しめるお祭りだった

Pinkdot当日は気持ちのいい秋晴れでした。友人から

なかったら大丈夫だけど、当日はピンクの洋服を着てきてね

と言われていたので、薄手のピンクのシャツで行きました。一応、パーカーも持っていきましたが、全然寒くなかったので必要なかったです。私たちは13時過ぎぐらいに、会場の西九文化區の最寄り駅である九龍駅に到着しました。駅から会場に向かって歩いていると、たくさんの家族連れや友達グループの中に同性同士で手をつないで歩いているカップルもいました。日本ではほとんど見かけない光景なので、少し「おっ!」と思ってしまいましたが、他の人はそのことに対して特に何の反応を示すことなく歩いていました。

イベント会場は海のそばだった

イベント会場は海のそばだった

イベント会場に入るとすぐに、Pinkdotのグッズが配られました。ほかにも丸型うちわみたいなものを渡されました。一時期、日本の政治家たちの間で話題になったビラと一体型になったやつです(笑)ちなみに穴は開いてなかったです。

Pinkdotで配布されたグッズ

Pinkdotで配布されたグッズ。左から時計回りに、缶バッジ、バンド、タトゥーシール

先へ行くと、インスタなどSNSにアップするのにうってつけなフォトスポットがありました。桜の木(もちろん造花)の他に、白いお花でできたテディベアやウェディングアーチもありました。アップしたかったけど、テンションが上がりすぎてて、単体で撮るのをわすれた…。

インスタ映えするフォトスポット

インスタ映えするフォトスポット。桜の木だけでなく、花でできたテディベアやウェディングアーチもあった

さらに進むと、お酒や食事、Tシャツなどが売っているのですが、これらは現金払いではなく専用のカードで支払います。カードが置いてあるブースに行き、チャージしたい分だけの現金を支払って、専用のカードをもらいます。今回は、私は友人と100HKDずつ出し合って、2人で1枚のカードを使いました。うなぎサンドを1つとビール2つ、ワイン2つ頼んで丁度いいぐらいでした。

Pinkdot専用カード。これに現金をチャージして、買いたいものを買う

Pinkdot専用カード。これに現金をチャージして、買いたいものを買う

うなぎとチェダーチーズが挟まったうなぎサンド(55HKD)

ピンクのテントの下で撮影したのでわかりづらくなってしまったが、うなぎとチェダーチーズが挟まったうなぎサンド(55HKD)。おいしかったけど斬新だった。香港人からみてもこの組み合わせは斬新らしい

メイン会場に入る少し手前には、協賛企業のブースが立ち並んでいて、各企業が話題になるようなピンクのグッズを無料でばらまいていました。

協賛企業が無料で配布したグッズ

協賛企業が無料で配布したグッズ。サングラスやココナッツオイル、タオルの他にまさかの避妊具まであった

もらってうれしかったのはUBSのファンとブルームバーグの折り畳み傘です。他にも、ピンクの水鉄砲(途中で出会ったちびっ子にあげた)やゲームで成功するともらえるフラミンゴのコーヒーが載せられる浮輪(flamingo bloomとかにあるアレね)やヨガマットなんかもありました。子ども向けのおもちゃやゲームがあることもあって、子ども連れがたくさんいました。中には、子どもがテスト前で家で勉強中だから、おもちゃをもらいに来るためだけに1人で来たお父さんもいらっしゃいました。

UBSのファン

一番のお気に入りのUBSのファン。充電用のコードまでついてた

ブルームバーグの折り畳み傘

ブルームバーグの折り畳み傘。日焼け対策に丁度良かった

一番大きな広場にはステージが設置されており、多くのアーティストが歌を披露していた。みんな、レジャーシートを敷いて、その上で食事をしながら歌を聴いていました。


思った以上に楽しすぎて、ブログに使える写真がほとんどなかったくらいです。実際に遊んでいるときは、「LGBTに対する理解を深めるためのイベント」だってことを軽く忘れてしまいました。イベントが終わってから、SNSでPinkdotに参加した人の写真を見ると、気がつかなかっただけで色んな人が来てたんだなぁ、と改めて思いました。Pinkdotは、「誰一人嫌な思いをすることなく、みんなで楽しむ」という当たり前のようで、お互いに意識しないとできない難しいことに挑戦しているイベントなんだと思います。

「ダイバーシティ・マネジメント」に「LGBTへの理解」が含まれるのか

Pinkdotの会場に向かう途中、友人との会話で、ちょっと不思議に思ったことがありました。

Pinkdotが何のイベントが知ってる?
LGBTへの理解を促すためのイベントだよね?
そう!ダイバーシティ・マネジメントのために取り組んでるイベントなんだ

ダイバーシティ・マネジメント?ダイバーシティ」という言葉は、会社員時代何度も聞いていたので理解はしているのですが、「ダイバーシティ」と「LGBTへの理解」を結びつけて考えたことはなかった…というか、「そこって繋がるの?」と思いました。
私が会社員時代に受けた様々な研修で耳にした「ダイバーシティ」関連の話って、大概「女性社員が働きやすい職場環境について」が9割ぐらいを占めていて、残り1割で「身体障がいを持つ社員とのコミュニケーション方法」を教わるパターンが多くて、LGBTの社員と一緒に仕事をするために気をつけなければいけない言動だったり、改めなければいけない考え方(誤解を解くという意味で)について講義を受けたことはなかったような気がします。
実際、経済産業省のHPに掲載されている「ダイバーシティ」に関するページにも一切「LGBT」に関する記述はありません。(ただし、「産業人材」の直下に入ってるページだから省いただけかもしれません。)

ダイバーシティ推進

女性をはじめとする多様な人材の活躍は、少子高齢化の中で人材を確保し、多様化する市場ニーズやリスクへの対応力を高める「ダイバーシティ経営」を推進する上で、日本経済の持続的成長にとって、不可欠です。
経済産業省では、企業の経営戦略としてのダイバーシティ経営の推進を後押しするため、「新・ダイバーシティ経営企業100選」や「なでしこ銘柄」の選定により、先進事例を広く発信するとともに、女性を含む多様な人材の活用を経営戦略として取り込むことをより一層推進するための方策を検討しています。また、企業の経営層に女性を含めた多様な視点が入ることは、企業の競争力向上に資することから、将来の企業経営を担う幹部候補の女性を対象とする企業横断的な「リーダー育成事業」を推進しています。

出典元:経済産業省 「ダイバーシティ推進」

また、日本の検索サイトで「ダイバーシティ」について改めてネットで検索してみると、やっぱり「女性の活用」について書かれているサイトがヒットするばかりでした。その中に、申し訳程度に「身体障がい者の雇用」「外国人の積極採用」に関する記述が出てくるぐらいで、「LGBT」に関する記述が出てくる企業サイトはほとんどありません。しかし、中にはこんな記事がありました。

「いろいろな人がいる」という意味でのダイバーシティが特に経済社会の中で意識され始めたのは30年以上前のことであろう。グローバル企業では、そのころからダイバーシティの担当役員を任命し、様々なグループに配慮して来た。アフリカンアメリカンのグループ、ラテンアメリカンのグループ、女性のグループ、ヤングプロフェッショナルのグループそして、LGBTのグループ等である。
 LGBTというのは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーといった性的嗜好のことである。こういった、いわゆるマイノリティーのグループの代表を選び、担当役員をつけて、社内で活動をしていた。最初のきっかけ、そして目的は人権問題からであったろうと思うが、今ではしなければならない人権の視点ではなく、市場で有利になり、多くの消費者・株主・労働者に支援されて経済成長していくための経営戦略として取り入れている。

出典元:DIAMOND online 佐々木かをりの実践ダイバーシティ
「日本人の大多数はダイバーシティの意味を誤解している」

日本企業は長年、男性社会で成り立ってきたから、「女性(出産・育児・介護・その他家庭の事情などでキャリアが中断&フルタイムで働けないことがある)」も「身体障がい者」や「外国人(言葉や文化の違いでコミュニケーションにハンデが出てくることがある)」と同じ「(企業における)社会的少数派」「(企業における)社会的弱者」という認識が日本企業にはあります。日本が推進するダイバーシティは「グローバル社会を生き抜くため、1人でも多くの戦力を獲得し、社会的少数派&社会的弱者が働きやすい会社にしよう!」という意味合いを強く感じます。「戦力の獲得」という話において、「LGBT」は社会的少数派ではあるけど、能力面や体力面に左右されるわけではない「非社会的弱者」だから、日本の「ダイバーシティ推進」から省かれてしまうのでしょうか。

ダイバーシティの本質は、性別でも年齢でもなく、「視点のダイバーシティ」であるというのが、私の指摘である。違ったものの見方ができる人が集まる組織が、健全であり、強い。女性を参画させることですべて組織の問題が解決するかは不明であり、また、男性だけでも多様な組織を作る事は理論上できる。しかし、多様な視点を持つ人をどう素早く集めたら良いかを考え、まずは性別や年齢、学校や国籍等を多様にするという方法を活用し、比較的容易に多様な視点を集めようというのが現在の状況ではないか。

出典元:DIAMOND online 佐々木かをりの実践ダイバーシティ
「日本人の大多数はダイバーシティの意味を誤解している」

この記事を読む限り、私はどっぷりと「日本式ダイバーシティ・マネジメント」に浸かっていることがよくわかります(笑)。私がこれまで考えていたダイバーシティは「男性」「女性」、「独身者」「既婚者」、「子どもあり」「子どもなし」、「健常者」「障がい者」、「日本人」「外国人」、「年齢」とざっくりとした条件でカテゴライズされた人たちがどうやってうまく共存していくか、同じ目標(売り上げなど)に向かって走るかを考えることだと思っていました。だから、「LGBT」や「宗教」「価値観」など内側の多様性について、重要視したことはありませんでした。ただ、内側の多様性に触れる話を相手からされたときは(宗教や政治的思想に関する話など)、「そういう人もいるんだ…。私は違うけど」と考えながらも、「否定だけは絶対にしない」を心がけて応じていました。それが「人の多様性・様々な視点を受け入れることができている」と言えるのか、どうかはわかりません。だからこそ、「(世界式)ダイバーシティ・マネジメント」の難しさを知りました。

正直なところ、「LGBT」に対して、これまで通り「人の趣味はそれぞれでいいじゃない」「所属するコミュニティのルールから外れなければどっちでもいい」程度のスタンスでいいのか、それとももっと別なところに「LGBTに対する理解の正解」があるのかよくわかりませんでした。ただ、Pinkdotに誘ってくれた友人のおかげで、楽しい休日を過ごせたのと同時に「広く深い意味での多様性」について考えるきっかけができたと思います。Pinkdotのメインテーマは「LGBTに対する理解」でしたが、「香港では外国人」の私も楽しめたので、もし来年も開催された際には、足を運んでみてはいかがでしょうか。



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